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年度末狂騒曲はもう聞こえない!車検の2か月前受験制度で年度末の混雑は緩和されるのか?

車検の新制度の概要

車検とは、自動車が道路を走るために法律で義務付けられている検査で、「自動車検査」と呼ばれます。

車検には期限があり、一定期間ごとに再度検査に合格する必要があります。

従来は、車検満了日の1か月前から車検を受けても、新しい車検の有効期間は「満了日の翌日から」始まるため、有効期間が短くなることはありませんでした。

しかし、1か月よりも前に車検を受けると、新しい有効期間は「実際に検査を受けた日から」始まってしまいます。そのため、前倒しした日数だけ車検の有効期間が短くなってしまいます。

多くの車の車検満了時期が年度末(3月頃)に集中するため、その時期は検査場や整備工場が大変混雑します。

混雑を避けようと1か月より前倒しして車検を受けてしまうと、新しい車検の開始日は車検を受けた日となってしまい、前倒しされた分車検の期間が短くなってしまいます。

この年度末における車検の混雑緩和と自動車整備士の働き方の改善のため、車検証の有効期間を短縮しないで車検を受けられる期間が拡大されます。

従来は車検満了日の「1月前」でしたが、「2か月前」から受けられるよう法改正が行われました。

新旧制度の比較


 例)6月1日が車検の期限の自動車の場合

新しい制度は令和7年4月1日より施行されます。

令和7年6月1日に車検の期限が来る自動車は、「2か月前」の令和7年4月1日より車検を受けることができるようになります。

令和7年4月1日に車検の期限が来る自動車は、従来通り「1か月前」の令和7年3月1日からの車検となります。

車検の新制度が始まった理由とは

例年3月になると、各地の運輸支局や自動車検査登録事務所、軽自動車検査協会の車検場は大変込み合います。

2019年から2023年の5年間の月別車検台数の平均は3月が約389万台、その他の月が約281万台であり、3月はその他の月の約1.4倍です。(出展:国土交通省報道資料

まるでゴールデンウィークの人気テーマパークのアトラクションのように、敷地から道路にはみ出す勢いで車検待ちの自動車の行列ができるのは毎年の風物詩です。

運輸支局等の窓口だけでなく、民間の指定整備工場も、自動車販売店も、我々自動車登録を専門とする行政書士事務所もこの時期が年間で最も忙しくなります。

このような車検に関わる年度末の混雑を緩和するために令和7年4月1日より車検の制度が変更されます。

従来は車検満了日の「1か月前」から受けられる仕組みでしたが、「2か月前」から受けられるよう法改正が行われました。

年度末に車検が増える背景と問題点

年度末に車検が増える理由は複数の要因が考えられます。

・自動車メーカーやディーラーの決算期であり、販売促進活動を強化し販売台数が伸びる。
・4月からの新生活に備えて3月に自動車を購入する傾向がある。
・3月を決算期とする法人が多く、経費処理の都合上、年度末までに車検を行う傾向がある。
・官公署の予算執行の都合上、年度末までに車検を行う傾向がある。

このように年度の区切りとなる3月前後に自動車の販売及び登録が増えます。

通常新車登録日が車検の有効期間の開始日となるため、結果として2年後、3年後の継続検査が集中する傾向があります。

繁忙期にあたるこの時期は、自動車ユーザーが整備や車検の予約が取りづらく、自動車整備士も残業・休日出勤に追われるという問題が生じています。

まとめ

車検の有効期限は通常、新車登録日より始まります。

そのため、3月に自動車の販売台数が増加する傾向が変わらない限りは、結局、年度末に車検が集中してしまう可能性があります。

しかしながら、われわれ自動車ユーザーにとっては、スケジュールに余裕ができるため、車検を受けられる期間が延びることは歓迎できることです。

新しい制度が、年度末の混雑緩和に効果があるかは、実際にこれからの年度末を体験しなければ判断できません。

いずれにしても、なるべく早く車検を受けるように心がけ、日常点検や定期点検をしっかりと行い、安全第一の運転を心がけましょう。